テレコム九州における自己完結型エッセイ/ParaTのいけてるマルチメディア
テレコム九州は「社団法人九州テレコム振興センター」が発行する小冊子(季刊)です。

Vol.21「あなたのWebサイト鑑定します。」

2002年4月上旬執筆(2002年7月号掲載)

(前書き)

種田守倖です。暑中お見舞い申し上げます。・・さてさて、ITという言葉ですが、すっかりカッコ悪い言葉になりました。「IT不況」というフレーズを筆頭に、今や《どちらかと言うとネガティブなイメージ》が一人歩きしちょります。CMとかでもあんまり使わないでしょ、ITって・・・ほとんど死語モードだからですよ。
飲み屋なんかで得意げに「IT関係の仕事だよ」なんて言うのは案外カッコ悪いことなのよ・・ということを老婆心ながら申し上げて、今回の『いけマル』をスタートすることに致しましょう・・・。
今回は最も幼稚なハイテク詐欺についてのお話です。
そしてオマケにもう1本です。ではどうぞ。


鑑定業はじめました。
まず『商店街』ってやつをイメージしてみて下さい。
アーケード街とか、ストリート的な《線》ではなくて、むしろ《面》で商店街を形成している地域とかいろいろ…。
何れにしましても、こういった商店街には大抵「組合事務局」とやらが存在しておりまして、商店街の健全な発展を目的とした様々な仕掛け(イベントの開催や共通商品券の発行などいろいろ)をやっています。
不況の煽りを受けて《空き店鋪》も増えました。このままではいかん!ということで、あの手この手、必死に努力をなさっておられる(ところもある。当然、そうでないところもちらほら・・)。

さて、某県の大型商店街(要するに目抜き通り)であります。今年、ここの事務局さんがWebサイトを立ち上げました。ところが、意外なところから物言いがつきました。
「このサイト、これでいいのかね?・・」
疑問をぶつけた主は、商店街でもなかなかのキレ者として知られる某店主さんでした。
ちなみにこの店主さんの奥さんは、奇遇にも私の知り合いでありましたので、いきなり話が面白くなってきます。
「種田氏ならいろいろ詳しいから、明日にでも聞いてみよう」てな具合で家族会議が開かれたことでありましょう。
かくして種田オフィス(つまりWebラジオFMC)の電話がけたたましく鳴るのでありました。
「はいこちら私立探偵・種マイク」
「うちの商店街のWebサイトを調査して欲しいの」
「と言うと?」
「一体、いくら位で出来上がるものなのか?さかのぼって見積りをして欲しいのよ」
「OKわかった!」
てな感じ(事実に基づいたフィクションです)で話が進みまして、種田守倖Web鑑定士が誕生したというお話。

早速、問題の某商店街Webサイトにアクセスしてみました。実は、このお話が来る以前に、当該Webサイトが立ち上がった際、偶然アクセスしたんですが、その時は「なんじゃ?えらく簡素なサイトだなぁ〜」と思ったものでした。写真の数も少ないし、まぁ一言で言って《大したことないサイト》でありました。

さて、URLを打ち込んでアクセスしてみると…あらら、この前と何も変わってないぞと。(進化無しですね)

「いま見てるけど、パッとしないサイトだね」
「でしょ。で種マイク(もういいっちゅうの!)ならいくらで見積る?」「うーん、うちなら・・そうだなぁ相当ボッて50万ってところかな。お友達良心的価格なら10万も頂かないね」
「実はあれ・・・200万なのよ」
「なんだとぉーーー!、に、200まんーーー!!!」
(ひっくり返りそうになりました・・いやマジで・・)
そんなこんなで、きちんとした鑑定をすることになり、Web制作を請負った側が提出していた見積書や、作成プラン等を精査致しました。

種田Web鑑定士が提出した報告書に愕然とした店主殿。商店街事務局へ大急ぎで出掛けます。
なんたってこの大不況です。商店街の運営費用として少なからぬ出費を負担している店主殿(ちなみに年間数百万の会費を払っているとの由)としては、こんなお金の使われ方をしたら、そりゃあお怒りになるのもご尤もな話でありましょう。

商店街事務局の担当者も相当青くなったようであります。直ちに請負い業者を呼びつけて、状況を詰問した上で、きちんと対処するよう確約させたそうで、とりあえず一件落着となりました。「種田Web鑑定士が非常に感謝されるの図」でありました。

この場合、何が悪いかと言いますとね・・。
当然一番悪いのは、足下を見てボッタクろうと思った請負業者ということになりますが、「請負業者の無茶苦茶な見積りを鵜呑みにした上で、計画書通りに作成されているかをチェックしていなかった事務局担当者も悪い」ということが言えます。厳しいようですが、クライアントさん・・あんたも悪いのよ。

こんな話がありますよ。
一般に、旅館やホテルなど観光業界では、Webサイトを用いた情報発信に力を入れているところが多いんですが、とある地域では女将(おかみ)の皆さんがこぞって《インターネットアレルギー》に罹っており、「ホームページ(Webサイト)なんてとんでもない!」ということになっているそうです。
聞けば、リーダー的存在の某女将が、悪質なボッタクリ業者に騙されて《1ページ単価150万円!》という笑っちゃうほど高価なWebサイトを作っちゃったんですね。またそれが大爆笑の詐欺ページでして、うちなら1ページ1000円で作るようなウソみたいに簡素なデザイン(小学生並み!)だったんです。それがいいのか悪いのか?・・見る目を持たない女将の哀れさ・・。結局、代金全額支払って終りぃ。(この手の詐欺に遭っている会社って結構多いです)

女将と言えば、大勢のスタッフを指揮監督してお客に最高のサービスを提供するのが仕事。言わば「人を見る」のが仕事です。それが、ひと頃のITブームに惑わされて、知識が無いまま詐欺に遭遇してしまったわけで、それはもう滅茶苦茶悔しかったみたいで、涙を流しつつ、地団駄踏んで怒り狂っていたそうです。その姿を見てしまった女将仲間は「インターネットって恐いぃ〜!騙されるのイヤ〜!」ということで、アレルギーになっちまったというわけ。
騙される前に私にお電話下さい。



私は『タウン情報番組』というジャンルのテレビ番組があまり好きではありません。と言うより「嫌い」です。
ちなみに、ここで言うタウン情報番組とは「○○の美味しい店大特集!」とか「秘湯の宿を訪ねて」など、最近ローカル放送局でもやたらと増えているお手軽番組(制作する上でお手軽)を意味します。
…番組から流される情報が本当に価値ある情報か否か?単なる数合わせ、時間調整の論理で、大した情報ではないものまでラインナップに加えているのではないか?等々・・様々な疑念が湧いてくるのも嫌いな理由の1つですが、それ以前の問題として『タウン情報番組は何も育てない』という半ば暴論ではありますが、タウン情報番組偏重主義がもたらす弊害について私は危惧を感じるからこそ「嫌い」なのであります。
不景気の連鎖、人心の荒廃、民度とりわけ文化面での創造力の低下が、ニッポン社会の大問題となっている今、例えるなら、馬鹿な減反政策で田畑が荒廃しているような状態のニッポンであります、九州であります。
その荒廃している田畑のあぜ道にも、春先になればツクシや菜の花なんかが芽吹きます。
タウン情報番組なんてものは、これらツクシや菜の花を、ただ珍しがって採って来るだけの、所詮「青田狩り」の番組でしかない・・私はそう思うのです。
むしろ、こんなご時世だからこそ求められているものは、荒廃した田畑を再び元の状態に戻す、つまり「耕し直す」ことであって、 凡そ放送媒体みたいなもの(文字媒体にも言えることだが・・)は、そういったことに対して、その持てる力を傾注する必要があると思うのです。
しかし、この「人・文化を耕す」という点に於いて、マスメディアなんてものは全くもって《落第点》で、かえって個人レベルで作られているフリーペーパー(無料配付の冊子。専らCDショップ、衣料販売店、美容室などで配付されている。昨今のデスクトップパブリッシング技術の進歩によって、プロ級のデザインテクニックを駆使したものが多い)の方が一日の長があります。
いつだったか、某情報番組でこれらフリーペーパー作りに取り組む若者のレポートを見た事がありますが、これもまた酷いもんでありまして、インタビューはまさに仮染めのインタビューでしたし、結局、フリーペーパーという古くて新しい媒体のカタログを「さぁどうだ、他局より早いだろう」と言わんばかりの姿勢でオンエアしただけでありました。
でも、こう書きながらも、シニカルに分かってる部分はあるんですよ。「実は・・耕すのって手間がかかるし、マンパワー的にも無理があるのよ」ってね。
だからこそ思うんです。
・・いろんなドラマや、みのもんたとかの説教番組なんかを見れば「努力したら必ず壁は壊せる!頑張れ!!」って言ってる場面に遭遇することが多いですよ。なのにどうして発信者たる制作者達は、自らを奮い立たせて努力をしようとしないんですかね。
実は、フリーペーパーに関わらず、うちみたいなWebラジオだってそう、イベンターもそうですが、毎日が「耕田の日々」です。常に経済的や慢性的な人手不足などの危機を引き摺りながら頑張ってるわけです・・。そういうところをきちんと捉えた取材を行って、単なるカタログ的情報ではない《使えるキーワード》を見つけて欲しいと思いますが、浮世離れしたマスには所詮無理な話かな。


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