所謂日常日記
榎田信衛門「鯨のしっぽ」
本を読む、テレビを見る、
街を歩く、田舎を彷徨う、
物を喰らう・・。
日々の出来事の中で、
一瞬「海馬」に蓄積された記憶を
このページに綴っていこうと思う。

「海馬(hippocampus)」
大脳の古皮質に属する部位で、欲求・本能・自律神経または記憶に関する中枢器官。


第144回

10月27日の日常から・・

割と速読である。
ちょっとした文庫本なんぞも、小1時間あればざっくり読める。
真剣に読んでも、そうだな・・1〜2時間あれば事足りる。

さっき紀伊国屋書店で買って来た『敗戦真相記/永野護著』を
1時間半ほどで完読。
昭和20年9月と言うから、敗戦から僅か1ヶ月である。
そんな時分に永野護というおじさんが行った講演のその原稿に
いろいろ注釈をつけて著わされた1冊である。

何やら永野護という人は清濁併せ持つような人らしく、
この人の人物像を知ってから読むと、
何やら《色眼鏡》がかかってしまって宜しく無いらしいのだが、
あっしはその名前をどこかで聞いたことがある程度なので、
非常にスラスラ読む事ができたよ。

要約すれば、日本が太平洋戦争に破れた原因は・・
1.やってる戦争自体のコンセプトが明確でない。
2.搾取構造から脱却できなかった。
3.国民にコンセプトが明確に伝わっていないため、やる気がおきない。
4.リサーチがまるでだめ、テクノロジーやマネージメントもまるでだめ。
5.洗脳された指導層による盲目的な理想主義。
・・・ってなところである。

1.はその通り。何のために戦線を拡大したのか、説明がつかないこと多し。
2.植民地を解放しても、その上でとんでもない搾取をやってるんだから敵を
 増やすだけだな。
3.生産能率が上がらない。働きがいが無い。嫌々やってるのが戦争ってもの。
4.これはもう有名なことだな。
5.幼年学校出の馬鹿参謀ってアルカイーダみたいなものだわな。

なるほど。
幾つか「んー。どうかなぁ・・」と疑問をぶつけたくなる論調もあったが、
何と言っても昭和20年9月である。先見性という点では只々驚愕するだけ。

戦後、日本がどのように生き残るべきかも記されているが、
この部分は「見事!」の一語に尽きる。
結果論として、本書で永野護が提案したコンセプトに乗っかったことにより、
日本は経済大国に成長することができた。

しかし、永野護が危惧している「敗戦の中から学ぶ、いろいろな事」を
ことごとく教訓としてこなかった日本である。
現在の墜落寸前の姿・・見事に浮き彫りにされてしまう。

字数はそれほど多く無い1冊なので、興味の有る方にはお奨めしておく。

ちなみにねぇ。
FMCに本書の教訓を投影してもこの1冊はピタリとハマるのよ。

元々FMCって団体はさ、
大した目的意識を持たぬ輩が、適当に集まって、適当に時間をつぶして、
適当に満足して、適当に辞めていく「適当な集団」であった。

それじゃ流石に時流に乗れんやろ・・ということで、
モチベーションを上げるためのコンセプト探しを始めた。
すると、そういう面倒な事を忌避する無気力な輩が出現する。
そういった輩には早々に退場願い、
結果的に「ちょっとはやる気のある輩」が残ることになった。
(蒸留みたいなもんだな・・)

しかし、
民主党と同じく、各々統一した思考というか「原理」が存在しない集団なので、
何をスローガンに掲げてもちっともモチベーションが上がらない。
(これには参った・・マジで。)

例えば、奇跡的に9人の意思が統一されたとしよう。
しかし、そこに同席しなかった別の1人が浮かぬ顔を引き摺る。
嫌な空気が流れる・・。
その空気を払拭するためにエネルギーを消費する。
疲れてしまい、本筋に入る前にモチベーションが下がる。
あーあ、その繰り返しであったよ。

結局、事を動かす上で必要な「コンセプト」そして、
モチベーションを上げる「テーマ」・・・この2つの原理的なものが、
いくらやっても根付かないという、
決定的にダメな《根無し草集団》になっていたわけで、
で、このまま座して瓦解を待つよりは、自ら破壊して再生しよう!
ということで、主要メンバー以外の全員に退場して頂いた・・
というのが去る9月1日のガラガラポンなのね。

あれからやがて2ヶ月・・。
どう変わったか?

実は、物理的には何も変わっていない。
しかし、意識構造はまるで変わってしまったね。

ちょいと説明が回りくどくなるけどね・・。

例えば「熊本を面白くしよう!」という掛け声は、
それこそ通年(というか何十年も前から)いろんなところから聞こえてくるが、
結局、既存のメディアとか、既存の商業空間とか、既存の文化人とか・・
つまりアリモノに頼る依存型のプロジェクトであったり、
あるいは《みんなどこかで顔見知り》という濃血ネットワークを作ることによって、
なんとなく「新しいものが生まれたねー」という自慰行為でオワリ。
どれをとっても中途半端なものばかりで、結局何も変わらないし、何も始まらない。
仮にその刹那、ちょいと盛り上がったりすることがあっても、
結局その中核にいる輩の顔ぶれはいつもの面々だったり、その子分だったりで、
思想が連鎖し増幅することなく、蓄積エネルギーの断続的な放出行為ばかりなので、
ズバリ言うけど「だからダメ」なのよ。

で、我々はこういう不様な《大間違い》だけはしない!と誓うわけ。
結局この思想が理解できぬ輩はFMCでは存在不可能!という
ある意味『絶対的なコンセプト』が確立されたこと。・・これは大きい。

頭が柔らかい人には分かるだろうけど・・。
全否定する裏側には「何を如何にやるべし!」という肯定的な思想が存在しているわけで、
あっしらは、その中の1つを明確に掲げて動けばいいってことよ。
新生FMC(つまりCDM・・ははは何の略かな?)は動き出すのだよん。
(発表はもうすぐだよん)

話がズレちゃったけど。いい時期にいい本が読めて良かった。


『今日の1コマ』 永野護著「敗戦真相記」・・デスクの上で適当に撮りました。


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