所謂日常日記
榎田信衛門「鯨のしっぽ」
本を読む、テレビを見る、
街を歩く、田舎を彷徨う、
物を喰らう・・。
日々の出来事の中で、
一瞬「海馬」に蓄積された記憶を
このページに綴っていこうと思う。

「海馬(hippocampus)」
大脳の古皮質に属する部位で、欲求・本能・自律神経または記憶に関する中枢器官。


第065回

7月17日の日常から・・

10日も更新をサボってしまった。
もっとも他で《血眼…ちまなこ》で更新作業をやっていたので
お許し願いたい。
ま、それはいい。(どう良いのか意味不鮮明なれど)


戦争状態である。

ちなみに戦争状態とは、単一または複数の敵と明確な交戦状態にあり、
互いにその経済力、生産能力、人的能力など、あらゆるパワーを動員して、
敵の生産性や攻撃能力などを大幅に低下させる、
あるいは敵自体を《殲滅》させることを言う。
まさに「究極の消費活動」イコール戦争なのである。

例えば、1隻作るのに500億円かかった敵艦艇を、
1発5億円のミサイルで撃沈することができれば「とってもお得!」
ということになる。双方合算で505億円がパァなのにである。
なるほど消費(むしろ消耗)活動だな。

さて、今や我が家は戦争状態である。
敵は『ネコノミ』・・。

我が家にネコは居ないが、
1986年から住み着いている老犬がいて、こいつが宿主となってしまった。
管理してるのがうちの93才老人で、こいつがボンヤリしてたもんだから、
家の中(老人宅)にノミの侵入を許してしまったというわけ。

そう言えば、半月くらい前からやたらと足首あたりに痒みが走り出し、
「やや?ダニでも出たかな?」と思い、キンチョールを噴霧したり、
掃除機をかけたりしたのだが、
症状は一向に好転せず、むしろ悪化を辿る一方であった。

かみさんも娘も同様に被害を受け、
見えざる敵の恐怖に怯えるNY市民といった感じとなった。

そしてついにXデー(敵発見)が訪れた。
「ゲゲっ!ノミだ!!」
第一発見者は私。
足にチクリという痛みが走ったので、見てみたら、
2ミリほどの大きさのノミがひっついていた。

すぐに索敵ならびに敵の行動偵察が開始された。
結果はすぐに出た。

老犬の周囲で発生拡大したノミは、老人の体にまとわりついて、
老人宅に侵入。
2階寝室に前線基地を置き、老人を第2の宿主としながら、
戦線拡大の機会を伺っていた。
そこへ「おじいちゃーーん」と遊びにいく孫娘。
当然狙いやすいターゲットである。
続いて、それを迎えに行くかみさん、あるいは私。
不用意な奴はやはり狙いやすい。

しかし、状況確認は終った。
直ちに戦略確定フェーズへと移行する。
今回の作戦名・・「蚤の市に行こう」

洒落ている場合では無いが、
マーケットガーデン作戦(自分で調べろ)みたいにはなりたくないので、
やることはかなり真剣である。

尚、戦術は・・
第一次攻撃A「燻蒸」(今回はアースジェット・ノミダニ用を使用)
第一次攻撃B「犬のノミ駆除」(効果が高い滴下型駆除剤を使用)
第二次攻撃「残党狩りA」(粉末殺虫剤を振りまき、残存卵から孵った幼虫を叩く)
第三次攻撃「残党狩りB」(奇跡的に生き残った成虫に殺虫剤を直接噴霧)
第四次攻撃「煮沸」(熱湯及び高温の蒸気にて細部に潜む残存兵力を一掃する)

現在、第三次攻撃を終えるところであり、
一部FMCにまで進撃した敵兵力は、完全に制圧状態にある。

ちなみに老人宅での戦闘は、
それこそアフガンでの米軍によるイスラム過激派制圧よりも苛烈を極め、
まるでベトナム戦争における「枯れ葉剤」の散布にも似た有り様で、
まさに《根絶やし》を感じさせる凄まじいものとなった。

当然、多くの巻き添え犠牲者も出た。

例えばゴキブリさん(ここは敬称を付与しておこう)である。
彼等は、さほど悪事を働いたわけでもないのに、
徹底したノミ殺虫作戦が展開されたとばっちりを受けて、
こちらもほぼ玉砕状態である。

さて、最初の宿主となった老犬は、迂闊な管理者の傍観が災いして、
ノミの徹底的な波状攻撃による重度のノミアレルギー症となり
死んでしまった。
老齢(人間ならとっくに100才を越えている)であったのも災いした。

思えば1986年初夏・・。ふらりと玄関前に現れた捨て犬一匹(ちなみに幼犬)。
のんきな女性スタッフが、無責任にも牛乳なんか与えたもんだから、
玄関前に居着いて離れなくなり、そのまま仕方なく我が家の一員となった犬。
あれから16年・・長寿と言えば長寿であったな。

さっき、裏庭に埋めてやったが、
思い出がいろいろと駆巡るものだ・・。

しかし、ここでシンミリとしている場合ではない。
今は戦時中なのだ。

我々人類の被害については・・
第2の宿主となった93才老人が、実は無数にノミ刺されていたにも関わらず、
蚊に刺されたものか、あるいは汗疹(あせも)程度のものと甘く考えていたようで、
今頃になって慌て始めている。
※老人の知識なんてものは実はあんまりアテにならない。

攻撃部隊の主力であった私は、攻撃中、ノミ精鋭部隊の果敢な攻撃に遭遇、
多数被弾である。

現在、猛烈な痒みと戦っているのだが、実に辛い。

「手へん」に「蚤」と書いて「掻く」という文字が出来たくらいだから、
ノミの痒さには古くから人類は悩まされてきたのであろう。

ちなみにノミの痒みは、蚊のそれとは比べ物にならない。
気がおかしくなる程、猛烈に痒い。

痒みの主な原因は《ノミの唾液》である。
この唾液に対する抗体反応が「痒み」というわけで、
これが我慢できないんだけど、万一掻いてしまえば、
皮膚に刺激を与え過ぎて《ヒスタミン》がドバーと出て、さらに痒くなる。
要するにアレルギーってことだな。

意識しているうちは我慢も出来るのだけど、
寝ている時など無意識に掻いてしまう。
お陰で私の両足首は完全に《ノミアレルギー皮膚炎》になってしまっただ。

実はボンバー陽子並みに病院嫌いである私だが、
今回だけは率先して「保険証はどこだぁ〜?」と言って、
ダイエー横の『NTT九州病院』まで出かけだだよ。

「うわぁ、これはノミですねぇ。痒いでしょう」というお医者殿の優し気な言葉
も上のソラ・・

「は、早く、く、クスリぅをぉ・・ヤクをくれぇぇ」てな感じ。
これほど薬が待ち遠しいのも異常と言えば異常。
もっとも異常なんだから病気なんだけどね(笑)。
今、飲み薬と塗り薬というWなアレルギー薬(副作用恐い)でやっつけ中である。
しかも包帯ぐるぐる巻き。(掻きむしらないための措置ね)

そんなこんなで、
図らずも今回は、ノミという生き物を徹底的に勉強した。
様々な文献を読み、ネットでもペットの飼い主や獣医のサイトを中心に
丹念に調べ上げた。

するとノミというやつはなかなかしたたかで、
敵ながら天晴れな奴!と思うようになった。

ペッタラこい干しエビみたいな奴なのに、相当にパワフルだし。
生態系のメカニズムとか、彼奴らのタフな生き様が実に面白い。
・・かと言って、友達にはなれないと思うけど。

なるほど「敵を知り己を知れば百戦また危うからず」か・・。
その前に《防衛》できなかったのは、悔やまれるなぁ・・。

それにしても痒い・・。
さっき老人と2人で老犬の通夜をやったところ。
明日は最終殲滅戦である。


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