所謂日常日記
榎田信衛門「鯨のしっぽ」
本を読む、テレビを見る、
街を歩く、田舎を彷徨う、
物を喰らう・・。
日々の出来事の中で、
一瞬「海馬」に蓄積された記憶を
このページに綴っていこうと思う。

「海馬(hippocampus)」
大脳の古皮質に属する部位で、欲求・本能・自律神経または記憶に関する中枢器官。

第012回

5月3日の日常から・・

昼間『カレーの穴』主宰の天竺堂氏が久々にご来訪。

実は、天竺堂氏の奥様が主宰されている
『着物サイト・粋恋亭』のイベントで、
音響機材のちょっとしたお手伝いをさせて頂くことになり、
今日は、その打ち合わせなのであった。

思い起こせば・・・
天竺堂氏と最初にお会いしたのは確か1997年の5月末頃だった。
カレーが美味しいことで有名な「喫茶ブラウン」・・
アナル島田を加えた男3人、淡々とカレーを語り合ったのが最初である。
それ以来、カレーを通じたお付き合いなのである。

「カレーでいったい何を話し合うの?」
・・そう思う人も多いかもしれない。

いや、カレーは単なる料理の系統に過ぎない。
カレーのレシピだけを語っていたら、
いかにも間が持たないだろう。

しかし、時として思う事が有る。
《料理って、言語なんじゃない?》・・

同じ味の味噌汁って・・そうは無いよね。
同じ味のカレーも、実は無いんじゃないか・・。
ほぼ同じレシピで作っている料理なのに、
風土ごと、地域ごと、家庭ごと、それぞれに味は違ったりする。

実は、カレーを語ることって、
《個々の認識の違いを確認し、それを愉しむこと》なんじゃないか・・
なーんて思ったりする。

味覚の差異を《人それぞれの評価を元に認識する》ということ、
つまり・・・
ある人は「もうちょいだね」なんて言い、
ある人は「バッチリ!」なんて言う、
それぞれの評価を互いに否定することなく、
「なるほど・・そうなんですね」なんて言い合えることって、
なんて《豊かな人間関係》なんだろうと思ったりする。

味噌汁だって奥は深い。ラーメンもそうだ。
でも・・塩気が濃いとか薄いとか、端麗とか濃厚とか・・
要するに味覚の差異が出過ぎて、
何かと嗜好が対立し、
会話の中で火花が炸裂しがちである。

ところが、カレーってものは、スパイスの刺激は強いくせに
その味覚の差異は実に穏やかだったりする。

カレー好きにとって、そこに豚肉が入っていようと、牛だろうと、
鶏だろうと、野菜だろうと、豆だろうと、基本的には何でもOKである。
(宗教的な問題などは別にして)

例えば辛さの強弱に対する好みがあったとしても、
それは味噌汁の味噌の濃淡ほど先鋭な差異ではなかろう。
(暴論承知)

要するに、相当乱暴な説を唱えれば、
カレーは何だって「ウマイ!」のである。

そのウマイものについて話しを進める時、
それはまさに至福の時である。

人の話を聞いて、素直に「げげぇーーウマそぅーー!」とか
言えちゃったりできるわけよ。

それは「醤油ラーメン党」が「豚骨派」を評する時に、
何かと不鮮明な不信感を抱きがちであるのとは根本から異なる。

具が何であろうと、ダシのとり方が何であろうと、
多少の好みの差は全部取り込んでしまうほどの奥行きの深さと言うか、
インド(周辺諸国も含めて)っつう国の凄さと言うか、
スーパースペシャルにワイドな振幅を感じちゃったりするわけである。

そんな味覚というか言語を共有できる人と会話をして
面白く無いわけがなかろ。

本日は、30分もなかったかも知れない。
僅かな時間だったけど、天竺堂氏との会話は実に愉しい。

あ、カレーの話題だけじゃないのよ。
むしろ余談の方が多かったりする。
ほんと、話題が目まぐるしく変わっていくんだけど、
何故だか飽きないんだなぁ。

カレー言語を共有すると、いつでも友達になれる!
言い過ぎかなぁ・・。



夕方。
フィラリア井元にトルネードまりからメール。
「今から行きまーす!」

ほほう。大分は臼杵市に住むまりちゃんは、
本日『三井グリーンランド』に行ってるという。
そのついでにFMCに立ち寄るかも・・
そういう情報は、我がFMCIA(?)にも入っておった。

しかし、荒尾市から熊本市経由で大分まで帰るってのは
実際如何なもんじゃろ・・なんて懐疑的な思惑もあったりして、
《どうせ来ないんじゃない?》とか思っていたのよ。

そしたら来ちゃった。(笑)
いや嬉しいねぇ。
去年の夏以来だもんね。

俺ってFMC内部ではアクが強い男だったりして、
実は、長くつきあう奴って意外と少ないのよね。
はっきりモノを言うからねぇ「お前、馬鹿か!」とかね。

そんな中、いまだに訪ねて来てくれるんだから
こりゃあ嬉しく無いわけがないでしょ。

でも、何やらこれから黒川温泉に行くという。
友達と待ち合わせてるので、あと30分くらいしか
居られないとのこと。

昼間、天竺堂氏から頂いたレトルトカレー各種でも食べ比べながら、
つもる話でもしたかったのだけど、ま、仕方ない。

いや元気そうで何よりだった。
日刊FMCにも引っ張り出したし、短いながらも愉しいひと時だった。



夜。
中居の『金スマ』を見た影響で、
古ーいVHSテープを引っぱり出した。
『さよなら銀河鉄道999』(監督りん・たろう)である。

うーん、この頃のVHS(HiFi登場以前)は画質いいね!
・・なーんて言いつつ、酒飲みながらのビデオ鑑賞である。

いやぁ暗い。
黒騎士ファウストの声(江守徹)も暗いが、内容自体が暗い。
前作『銀河鉄道999』との差が出過ぎだぞ。

思えば今から20数年前の封切り時、
俺は新市街の東映に居たな。
あの頃、想像を絶する馬鹿だったなぁ。
お調子者だったなぁ。

整理券を発行する側に回り、
名誉ある(?)《1番》をゲットするという
実に姑息な手段を堂々と行使し、
東映の事務所にて『オールナイトニッポン』の
《銀鉄スペシャル行列速報》に電話出演しちゃったのだ。(笑)
(種田家末代までの恥辱であることは甘んじて認める)

んなことを思い出しつつ、ラストシーンである。
ちなみにナレーションは、城達也である。

だめだ。泣いた。さすがに嗚咽は無いが号泣である。

内容ではなく、城達也の声に泣いた。
今も、この文章書きつつジーンと来るくらいである。

いい声だ。なんていい声だろう。
今の『ジェットストリーム』は江戸所払い、いや遠島である。

感動する声って確かにあるんだな。理屈抜きで感動なのである。

感動かぁ。いいねぇ。
今日は細切れだったけど、愉しいことが多かった一日だった。


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