第3回きずな・あいぽーと文化祭参加プログラム「災害とメディア」市民メディアだから出来ること。



●当日生放送した番組をオンデマンドでお聴き頂けます。→http://www.ustream.tv/channel/a20111126
2011年3月11日金曜日。
震災が発生した14時46分。私は近所に買い物に出掛けていました‥。
携帯に緊急地震速報が入ったのですが、この段階では、地震多発地帯でもある東北地方でのよくある強震くらいの認識しかありませんでした。
この日は、16時過ぎから『日刊深夜快速土曜版』の収録が入ってましたので、時計を見たら15時半を回ったところ。そろそろ戻ろうかなと‥。
大江3丁目のFMCスタジオまでトボトボ歩いて約10分。時刻で云うと15時40分くらいでしょうか。スタジオに入りましたが、まだ誰も来ていません。
特に意識したわけでなく「とりあえず」と云った感じでテレビを点けました。映ったのはNHK総合でした。
映像が出た途端、正直目を疑いました。
丁度、アナウンサーが武田真一氏に交代してすぐで、仙台の名取川を遡上する津波第1波の空撮が始まったところでした。
映像を見て、ようやく事の重大さを飲み込んだのですが、正直飲み込める許容量を遥かに越えていました。
全身総毛立ち、とても平常心ではいられなくなっていました。
するとそこへ『日刊深夜快速土曜版』のMCであるマスタード☆鶴田がスタジオに入ってきました。
彼も携帯等で震災発生の情報は得ていたのですが、テレビの津波空撮を見て呆然。
私とマス☆鶴‥揃いも揃って「40半ばのおっさん2人」が、テレビを眺めながら狼狽(うろた)えているという寸法です。
10分くらい映像を凝視してたでしょうか‥。
愛すべき日本の町や人々が、今まさに蹂躙されていく様を見て、悔しくて泣けてきたのをしっかりと覚えています。
どちらからともなく「腹くくっていきましょうか」と呟いたような気がします。
「やるしかないでしょう」
FMCとしての方針を次のように決定し、直ちに実行することにしました。
・直ちに緊急特番を収録。その日放送する予定だった『日刊深夜快速金曜版』は休止。
・20時から1時間毎(定時)に可能な限り臨時特番を流し続ける。
・残念ながらFMCは報道機関としての能力を持っていないので、被災者を元気づける番組内容に 
 絞って放送する。
・マスコミが震災報道に集中することが予想されたので、被災地以外の地方(例えば我々の地元九州)
 の動きを海外居住のリスナーに届ける。
それからの流れを時系列でまとめますと以下のようになります。
・16時。マスタード☆鶴田と榎田信衛門で緊急特番『東北地方太平洋沖地震・がんばれ!日本(Vol.1)』  
 の収録を開始。17時16分に配信。
・16時32分。FMC全スタッフに対して非常呼集。
・19時過ぎ。キラウエア裕子スタジオ入り。直ちに『東北地方太平洋沖地震・がんばれ!日本(Vol.2)』
 収録開始。20時00分配信。
・以降、榎田信衛門+キラウエア裕子のコンビで、日付が変わった12日0時00分放送の『東北地方太
 平洋沖地震・がんばれ!日本(Vol.6)』まで1時間おきに定時放送を継続。
・1時過ぎ。ピナツボめぐみスタジオ入り。直ちに『東北地方太平洋沖地震・がんばれ!日本(Vol.7)※
 ロングトーク版』収録開始。2時23分配信。
・一旦散会。
・14時。トークラジオ番組『QIC(第752回)』を全編震災特集で収録。(放送は翌13日夜)
・引き続き16時から『深夜快速土曜特別版』をMC:マスタード☆鶴田、アシスタント:榎田信衛門・エ
 アポート成田、ゲスト:キラウエア裕子という陣容で収録。23時00分定時配信。
・13日以降は『日刊深夜快速・定時特別版(定時放送)』と『臨時特別版(随時放送)』という編成スタイル
 を設定。統一テーマとして『がんばれ!日本/明けない夜はない。ドンと行こう!』を掲げ、世界に散
 らばるリスナーから続々寄せられる応援メッセージを紹介。遅々として進まない政府の救援支援に
 対して「マスメディアでは不可能な痛烈な批判」を繰り出しつつ3月19日まで放送を継続。それ以
 降は定時レギュラー番組を震災関連情報にシフトさせて対応。
・3月27日15時00分から、トークラジオ番組『QIC(第754回)』を番組史上初の生放送。元気が出る音
 楽と熱いメッセージを紹介。
・4月1日にYouTubeにアップされたばかりの福島応援ソング『I love you & I need you ふくしま(猪苗
 代湖ズ)』の『勝手に熊本版』を作成すること急遽7日に決定。翌8日と9日の両日撮影を実施。11日に
 は完成版をYouTubeにアップ。※現在再生回数「5万回」を数えている。
このようにして放送されたコンテンツは、全てサーバに保存され、いつでも自由にお聴き頂くことが出来ます。
聴き返せば、動揺、混乱、錯綜、錯誤、様々なミスが散見されます。
しかしこれらは、その時点で得られた手探りの情報に対する我々の皮膚感覚をそのままストレートに表した言葉の羅列です。
番組の中で「3日間だけ頑張れば必ず支援の手が届く」と私は何度も発言しています。これは、それまでの我が国の災害対策を語るときの常套句でありました。
しかし現実は違っていました。
1週間経っても何も届かないところが沢山ありました。
かねてよりウェブラジオFMCでは『正常化の偏見』『正常化バイアス』と呼ばれる「自分だけは大丈夫だろう」という根拠の無い思い込みの怖さを事ある毎に紹介。大規模災害発生時における被害拡大を阻止するための発言を続けて参りました。
ですが、そう発言していた我々も《常套句》あるいは《常識》という呪縛の中で大規模災害を漠然と捉えていたのだと今、改めて猛省しているところです。
また、あの通信状況では、多くの被災者に私たちのコンテンツなど届くはずもない‥それくらいのことは先刻承知でありました。
しかし、何かに急き立てられるようにメッセージを送り続けました。

「後から、落ち着いてから聴いてみて下さい。あの時、私たちそして多くのリスナーは、被災地を直視して《なんとかしなければ》と心を痛めていました。そのときの記録が此処にあります。」

直接的な被害に遭った人々の苦しみには遠く及びませんが、被災しなかった地域には「何かしなければならないけれど、何をしてよいのか分からない」という思いが心を縛り付けて鬱状態に陥った人が大勢いました。
ひょっとしたら私たちにできることは、こういう人々の気持ちを少しでも楽にすることなのかもしれない。そんなふうに思い「自己満足でもいいじゃないか!応援のメッセージを送ろう」と呼びかけるようにもなりました。
マスメディアにできること。ミニメディア(市民メディア)にしかできないこと。
今回の震災は、多数の尊い命を犠牲にしました。
しかし、そこから得られる様々な示唆を余すところ無く抽出し、次なる防災に活かすこと‥。
絶対に忘れてはならないことだと私は考えています。

一緒に考えてみませんか?
この緊急特番が始まりだった。
■特別番組「東北地方太平洋沖地震」がんばれ!日本(Vol.1)

2011年3月11日(金) 17:16放送

「自己満」上等!
qic754の番組ページへのリンク
福島の皆さんを応援したくなった。

=熊日新聞による紹介記事=

今回のプログラムラインナップ。
10:00〜『きずな・あいぽーと文化祭オープニング』20'
10:20〜※アイドルタイム(休憩10')
10:30〜『市民メディアだから出来ること』60'
11:30〜※アイドルタイム(休憩5')
11:35〜『会場レポート(食・環境編)』15'
11:50〜※アイドルタイム(休憩10')
12:00〜『(未定)』
12:30〜『会場レポート(文化編)』10'
12:40〜※アイドルタイム(休憩20')
13:00〜『3.11から学び取る幾つかのこと』90'
14:30〜『会場レポート(福祉編)』10'
14:40〜※アイドルタイム(休憩5')
14:45〜『大江で捜査網next』15'
15:00〜『保存版ウェブラジオFMCクロニクル』50'
15:50〜『クロージング』10'
出演:榎田信衛門、マスタード☆鶴田、キラウエア裕子、ピナツボめぐみ、エアポート成田、セントヘレンズ理恵、レツゴー匠平、ラ・パルマ絵美、おおぐま欣三、流れ星☆みいな、見習いカエデほか
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※オンデマンド放送なので、24時間いつでもお聴きになれます。

第3回きずな・あいぽーと文化祭。日時/2011年11月26日(土)10:00〜16:00。場所/熊本市市民活動支援センターあいぽーと